更新日 : 2000/05/16



ビール用語の基礎知識110語

ビール用語の基礎知識110語

第1章 ビールのスタイルに関する用語

ア行
カ行
サ行
タ行
ハ行
マ行
ラ行


第2章 醸造に関する用語へ

第3章 ビールの特徴をあらわす用語

第4章 テイスティングに関する用語


ビールについて(TOP)へ

神戸で、地ビールを造っている渡邉克彦様(株式会社サッポロ神戸大使館醸造所)の ご好意により、内容を紹介致します。


ア行

【アイスビール】
 熟成を終えた下面醗酵ビールに水を加え、温度を氷点下4℃に下げると氷 の結晶ができる。この氷をフィルターで除去し、ボトルや缶に詰めたものをアイス ビールという。氷と一緒に雑味成分が除去されるので、アルコール分が5.5〜6.5%と 高く、すっきりした味わいになる。カナダのラバット・アイスビールが1992年に登録 して評判になった。


【アメリカン・ラガー】
 非常に淡い色をした下面醗酵ビールで、アルコール分は3.8〜4.5%。原料 にアメリカ産六条大麦麦芽のほかコーンや米がしばしば使われる。ホップの量はかろ うじて苦みが感じられる程度。そのため麦芽風味、ホップ風味とも極めて薄い。
 味わうよりも喉を潤すのに向いているビールで、バドワイザーはその代表 的な銘柄である。


【アメリカン・プレミアムラガー】
 ミディアムボディ、フルフレーバー、ダークゴールド の下面醗酵ビール。 アメリカン・ラガーに比べ、大麦麦芽の風味とホップの苦みが強化されている。アル コール分もアメリカン・ラガーより高く4.3〜6%。サミュエルアダムス・ボストン ラガー、ブルックリン・ラガー、アラスカン・アンバーなどは、いずれも麦芽とホッ プのハーモニーが素晴らしい。


【アメリカン・ペールエール】
 ゴールド、アンバーもしくは銅色の上面醗酵ビール。花のようなアロマと 柑橘系のフレーバーを特徴とするアメリカ産のホップが使われる。ホップの苦みとと もに麦芽の素晴らしい風味が効いて、非常に味わい深い。アルコール分は4.5〜 5.5 %。代表的な銘柄は、アンカー・リバティエール、シェラネバダ・ペール エール、ピラミッド・ペールエール、アラスカン・ペールエールなど。


【アルトビール】
 ドイツの上面醗酵ビールで、ホップの苦みと麦芽のフレーバーを効かした ミディアムボディのビール。小麦麦芽を使うこともある。色はブラウンもしく は銅色。エール系であるにもかかわらずフルティーなエステ香が少なく、爽や かですっきりとした飲み口が特徴。あるコル分4.3〜 5%。なかでもビンカス・ ミユンスターアルトはピカイチ。日本では、シュレッサーアルトをみかける。


【イングリッシュ・ペールエール】
 英国で伝統的に造られている上面醗酵ビールの一つで、ペール(淡い)という 名前に似合わず比較的濃い色をしている。ホップの苦みに関しては19−55 IBU と醸造所によって大きな違いがある。英国産のホップを使ってアロマを強調する 事が基本条件。フルティーなエステル香を効かせているものも見かける。
 アルコ−ル分4.3〜 6.6%。日本でも、バス・ペールエール、ダブルダイアモンド、 ラムロッドなど多様な銘柄が売られている。

【インターナショナル・ラガー】
 ボヘミア・ピルスナーから派生したゴールド色の下面醗酵ビールで、原料に麦 芽のほかコーン、スターチ、米などの副原料が使われている。軽くすっきりした 味わいとより爽やかな喉越しを大切にし、麦芽風味やホップの苦みを極力抑え ているため、TPOを選ばずどんな時にでも飲めるいわば万人向きのびーる。
 アルコール分4〜 6%。ハイネケン、カールスバーグ、日本の大手メーカーは このカテゴリーに入る。

【インディア・ペールエール】
 ゴールドから濃い銅色の上面醗酵ビール。グラスに注いだとき、ドライホッピング による花のようなアロマが周囲に漂う。口に含むと、熱いアルコール感(5〜 7. 5 %)と強烈な苦みに襲われる。
 フルボディで麦芽風味も芳醇。比較的高い温度で醗酵させたものは、バナナのアロマ とフレーバーを持つ。
 18世紀末、英国からインドまでの長い船旅に耐えるように、アルコール分とホップの苦み強化したのが始まりだが、現在ではアメリカで多く造られている。なかでも、フルセイル・インディアペールエールは絶品といいたい。

【ウインナービール】
 ウィーンで生まれたアンバーもしくは赤銅色の下面醗酵ビール。すっきりとし たホップの苦みに加えて、麦芽のほのかな甘みとカラメル香を特徴とする。ホップの アロマとフレーバーは弱く,ボディもライトからミディアムと比較的軽い。
 アルコール分4.8〜 5.4%。第一次大戦後に廃れたが、最近になってアメリカで はやりだした。日本で飲めるウィンナービールはメキシコ産のドスエクィスXX。

【エクストラ・スペシャルビター】
 英国で生まれたビターのバリエーションの一つ。色はゴールドから銅色の範囲。
アロマ、フレーバ、苦みのいずれにおいてもホップのキャラクターが際立っている。
 ビタネスユニットは30−55IBUと高いが、よく味わっているとフルーティーなエステル香が感じられ、麦芽風味も通常のビターより強い。中でも一献の価値のある銘柄は、フラーズESB。

【オールドエール】
 初期比重の高い麦汁から造られるので、アルコール分が6.5〜 8.5%と強い。オール ドと呼ばれるのは長い期間にわたりエイジングされるためで、醸造所の特醸ビールとさ れる。
 ホップの苦みは非常に強いが、あまやかな麦芽風味とエステル香があいまって、丸み のある芳醇な口当たりを持つ。オールド・ベキュリアトトラクェア・ハウスエールは、 日本でも手に入れやすい逸品。



第1章 ビールのスタイルに関する用語

カ行

【カリフォルニア・コモンビール】
 通常とは違う醗酵法で造るビールをコモンビールという。
その中でもっとも有名な銘柄は、アンカー・スチーム。ラガー用の下面酵母を使い、 エールのように高温で醗酵させて造る。
 熟成も樽の中で高温で行われるため、泡がシュウーシュウーと音を立ててもれる ことからスチームビールと呼ばれるようになった。
 色は銅色で、ボディーはミディアム。カラメル香の効いた麦芽風味と米国産 ノーザンブルワー・ホップのフレーバーが素晴らしい。アルコール分5%。
 泡立ちのよさを特徴とする飲み口の柔らかいビールである。


【ケルシュ】
 ピルスナーのような淡い色とエールのようなフルーティーなアロマを持つ上面 醗酵ビール。ボディーが軽くて、苦みはミディアム。
 アルコール分4.4〜 4.9%。幾分甘い口当たりで、白ワインのような味わいを持ち、 後味にかすかなハーブ香が残るのが正統派ケルシュ。原料に小麦を混ぜて、酸味の アクセントをつけているものもある。
 飲むときの適温は13℃。冷やしすぎると口当たりが硬くなりおいしさが半減する。 細い背高(13cm)のまっすぐなグラスに入れ、泡の厚さを2.5cmに決めるのが伝統的な 注ぎ方である。
 本場ケルンのケルシュを探すのは至難の業。地ビールメーカーの中 にはケルシュを作っているところが多いので、そちらを試されたい。

第1章 ビールのスタイルに関する用語

サ行

【ジャーマン・ピルスナー】
 北ドイツで造られるピルスナータイプのビール。チェコで造られるボヘミアン・ ピルスナーより色が淡く、ボディが軽く、苦みが軽く、口当たりがドライである。
 ハラタウア、テトナンガー等のドイツ産のホップを用い、アロマはボヘミアン・ ピルスナーよりも際立つ。
 アルコール分は4〜 5%。典型的な銘柄は、ヴォルシュタイナー・プレミアムピ ルスナー。


【修道院(アビイ)ビール】
 上面醗酵、下面醗酵を問わず、修道院からライセンスを得て一般のビール会社が 造っているすべてのビールを指す。ベルギーに最も多い。
 大きく分けてダブルとトリプルの二つがある。前者はブラウン色をした麦芽風味 の強いビール。チョコレートもしくはナッティなアロマを持ち、アルコール分 6〜7.5%。後者はゴールド色のスパイシーなビールで、クローブやバニラの フレーバーとほのかに甘みを持つ。アルコール分7〜10%。いずれも、ミディアム ないしフルボディで、苦みはさほど強くはない。輸入されている修道院ビールの 代表例は、レフ・ブリューヌ、レフ・トリプル、ステンブルッヘ・デュベル、 ステンブルッヘ・トリプルほか。


【シュタインビール】
 麦汁の煮沸中に1200℃に焼けた石を煮沸釜に入れると、糖分の一部がカラメル 化して石に付着する。熟成させるときに、またこの石をタンクに戻してやる。 するとスモーク香と甘みがほのかに感じれるシュタインビールが生まれる。
 有名なラオヘンフェルス・シュタインビールは、アルコール分4.7%。 口当たりはまろやかで苦みもマイルドな上面醗酵ビール。


【シュバルツビール】
 ドイツ・タイプの黒ビールのこと。ボディーはミディアム。やや甘みがあり、 苦みは中庸。アルコール分4.5〜5%。香ばしいロースト麦芽のアロマと フレーバーが、このスタイルの特徴。日本でもブラックもしくは黒ビール という名前で、昔から造られてきた。


【スコッチエール】
 スコットランドで造られる、フルーティーでアルコール分の強い(6.2〜8%) エール。色は銅色から濃いブラウン。苦みは中程度よりやや強い。
バナナのようなエステル香と甘みを伴ったカラメル風味が特徴でアフター テイストに強烈にアルコールのほてりが残る。
 マキュワンズ・スコッチエールが好例。


【スタウト】
 スタウトにはドライスタウト、スイートスタウト、オートミルスタウト、 インペリアルスタウトの4種類がある。
・ドライスタウトはカラメル風味とローストバーレイの焦げた苦みが特徴。ボディ は軽く、口当たりは見かけよりさっぱりしている。ご存知ギネス・エクストラスタ ウトはその代表選手。
・スイートスタウトはフルボディで、口当たりはクリーミー。甘い麦芽風味と チョコレートのようなフレーバーが際立つ。マッキソン・スタウトスイートスタウト の元祖である。
・オートミルスタウトはオート麦で造るため口当たりはすこぶる滑らか。ボディ が強く、カラメルとチョコレートを思わせる麦芽風味が芳醇である。サミュエル スミス・オートミルスタウトは日本でも手に入れやすい。
 以上の3種類はいずれもホップ風味が弱くアルコール分も3〜6%と中庸。
 これらと対照的なのがインペリアルスタウトで、アルコール分8%以上。 ホップ風味と麦芽風味が程よく主張され、バナナのようなエステル香が 馥郁と立ち上るのがよいインペリアルスタウトの条件とされる。
 インペリアル・ロシアン・スタウトは傑作中の傑作。ちょとしたワインのよう に高価だが、見かけたら買っておきたいものだ。


【スパイスビール】
 沸騰中にスパイスを投入した造ったビール。シナモン、ジンジャー、ナツメグ、 クローブ、コリアンダー、カルダモン、などのスパイスがよく使われる。
 アメリカで人気のアンカーズ・アワ・スペシャルエールは、日本でも売られる ようになった。


【セゾンビール】
 元来はベルギーの農家ビール。秋の収穫時に畑で飲むために農閑期に造っておく ビールであった。数種類の酵母が醸し出すフルーティーなキャラクター、ホップの クリーンなアロマ、切れ味のよい苦みが特徴。
 農家の料理が家庭によって違うように、セゾンビールも麦芽比率やスパイスに 工夫されていて、味や色のほかアルコール度数にもバラエーティが見られる。
 クリーミーな泡が素敵なセゾン・デュポンは、日本でも飲める。

第1章 ビールのスタイルに関する用語

タ行

【ドライビール 】
 アサヒ・スーパードライが元祖。日本が生んだビールで国際的にビールの スタイルとしてみとめられているのはこれ一つである。
 麦芽糖分はほとんど残さずアルコ−ルに添加する新酵母の開発により、 喉越しすっきりとした、後味のきわめて少ない日本人好みのビールを作った。 麦芽とホップの風味が非常に軽いので、多飲しても飲み飽きしない。


【トラピストビール】
 トラピスト修道院のビールで、これを造っている修道院は世界でも6個所 しかない。それらの名前は、シメイ、オルヴァル、ロシュフォール、ウエス トマル、ウエストフレテレン(以上ベルギー)、ラ・トラッペ(オランダ)。 上面醗酵と瓶内熟成以外にスタイルとして定まった特徴はない。それぞれが 伝統的な醸造法を守り、個性的な味わいを誇っている。


【ドルトムント/エクスポート】
 ドイツのドルトムントで造られるゴールド色の下面醗酵ビール。
 ミュンヘンもビールよりもクリーンでドライな味わいを特徴とする。
硬質の水を使うためホップの効きも強い。アルコール分5〜6%。
 アクティエン・ダブ・エクスポートという銘柄が伝統的な味わいを伝え ているが、なかなか手に入れにくい。ビール評論家のマイケル・ジャクソン氏 (米国の歌手ではありませんあしからず)によると、サッポロ・エビスもドル トムントビールのカテゴリーに入るという。濾過と熱処理したものをエクスポ ートと呼ぶ。

第1章 ビールのスタイルに関する用語

ハ行

【バーレイワイン】
 黄褐色もしくはダークブラウンのフルボディー・エール。麦芽の甘み、フルーティー なエステル香、それにスパイシーなフレーバーが絶妙に織り成す複雑で奥行きのある味わいを持つビール。アルコール分7.5%以上、時に12%を超えるものもある。長い間熟成させると、甘みが消えてドライになる。じっくりとねかせたトーマスハーディ、オールドニックを、ぜひ試されたい。


【バイツェン/バイスビア】
 バイツェン酵母で醗酵させるドイツ伝統的な小麦ビール。色はゴールドで、クローブ もしくはバナナの香りが特徴。ホップの風味は極めて弱い。泡立ち泡もちがよいこともこのビールの必須条件。レモンを絞っていれると一層爽やか。アルコール分4.8〜5.4%。
 濾過せず濁っているものをヘーフェバイツェン、透明にすんでいるのをクリスタルバイツェンと呼ぶ。エルディンガー・バイスビア、バイヘンシュテファン・バイセ、シュパーテン・ヘーフェバイス等が輸入されているほか、地ビールにも素晴らしいものがある。
 サブスタイルとして、色がダークで麦芽風味の強いディンケル・バイツェン、高アルコール(6.5〜7.5%)のバイツェン・ボックがある。


【ビエル・ド・ギャルド】
 フランス西北地方の高アルコールビール。アルコール分6.5〜8%。色合いは深みのあるゴールドから赤みがかったブラウンまで幅広い。ホップより麦芽風味を強調したビールで、フルーティーなエステル香や酸味も幾分感じられる。ボディーはライトからミディアム。コルク付きのシャンパンボトルに入れられ、瓶内熟成させているものが多い。 日本には、ジャンレンが輸入されている。


【ビター】
 英国のパブで飲ませるもっとも代表的なエールで、樽からハンドポンプで汲み出してお客に飲ませる。色は薄いブラウン。フルーティーで甘みが少ない。苦みは中庸。ボディはライトからミディアム。カーボネーションが少なく、13℃前後のぬるい温度で出されるので慣れないと面食らうが、飲みつけるとはまってしまう。日本にいて飲みたいという人は、黄色い缶のボディントン・ドラフトを薦めたい。


【ブラウンエール】
 英国のタドキャスターで造られる深紅または茶色をした上面醗酵ビール。まろやかな口当たりと軽くローストした麦芽の香ばしいフレーバーと甘みが非常に印象的。麦芽風味が際立つのは、炭酸塩の多い水を使うためホップを控えめにしているから。エステル香も強い。ボディはミディアム。アルコール分4〜5.5%。サミュエルスミス・ナット・ブラウンエール、ニューキャッスル・ブラウンエールなどは、比較的手に入れやすい。


【フランダース・サワービール】
 フルーティーなアロマと酸味を持つベルギービール。色は赤もしくはブラウン。ベルギー・レッドエール、ベルギー・ブラウンエールともいう。それぞれの代表格は、ローデンバッハ・グランクリュとリーフマンス・ガウデンバンド。
 前者はオークの樽で2年間熟成させた甘酸っぱい爽やかなビール。マディラワインに似た口当たりで、パッションフルーツとオークの香りが特徴。
 後者はモンティラ・ワインのような香りをもち甘さとすっぱさが均衡している。両者ともよく似た味わいで、熟成を重ねるほどワインに近くなる。


【フールツビール】
 生のフルーツや濃縮果汁、またはエッセンスを加えて造ったビールで、 フルーツの 風味が特徴。
ベルギーのランビックにチェリーを加えたクリーク・ランビックとラズベリー を加えたフランボワーズ・ランビックがよく知られている。 いずれも綺麗なピンク色で、シャンパンの酸味とフルーツのブーケが口中 を爽やかに潤す。
 最近はカシス、ピーチ、バナナの新種も人気をを呼んでいる。アルコール分は 3.7〜6%。クリーク・ブーン、フランボワーズ・ブンは伝統的な手法で作られた本格 的なフルーツランビックとされる。


【ベジタブル・ビール】
 野菜を入れたビール。チリビールには唐辛子、パンプキンエールにはかぼちゃが 入っている。たとえば、ケイヴクリークというチリビールはボトリングのときに ハラペーニョ(青唐辛子)を丸ごと1〜2個入れているので見るからに辛そうである。
 パンプキンエールは、バファローヒルズが有名。日本の地ビールにサツマイモラガー というものがあるが、これはベジタブル・ビールの傑作といってよい。


【ベルギー・ゴルデンエール】
 ゴールド色の上面醗酵ビールで、サテンのような柔らかい口当たりと、喉がカーッと 熱くなる高アルコール(8.5〜9%)が特徴。グラスに注ぐとき、メレンゲのような洋梨を 思わせるようなフルーティーなアロマが立ちのぼる。口中ではスパイシーなホップの フレーバーが姿をあらわし、やがてほのかな甘みを残して消えていく。苦みは弱い。 デュベルトデリリウム・トレーメンスは必飲の銘柄。


【ベルギー・ダークエール】
 大麦麦芽で造る茶褐色でアロマチィクな上面醗酵ビール。柑橘系ホップ・アロマが 特徴のアメリカン・ペールエールやフローラルなホップアロマが特徴のイングリィシュ ・ペールエールに対して、このベルギー・ダークエールは酵母の芳香が特徴といわれる。
酵母は醸造所ごとに異なるので、そのアロマもリコリスやシナモンのようにスパイシーなものからリンゴのようなフルーティーなものまでさまざま。口当たりはいくぶん甘く、ホップの苦みは中庸。アルコール分5〜9%。アダムとイブのラベルで知られている禁断の果実というビールは、多くの隠れたファンを持つ。


【ベルギー・ホワイトビール】
 小麦を30%以上使って造るゴールド色の上面醗酵ビール。小麦が多いと白濁するので ホワイトビールと呼ばれる。第一印象はコリアンダーとキュラソーオレンジの華麗な アロマ。続いて、かすかな酸味とほのかな甘みの折り重なるフルーティーな味わいが、 口中を爽やかに満たす。エール系だが8〜10℃に冷やして飲むとうまい。
 アルコール分4.8〜5.2%。苦みはごく軽い。ヒューガルデン・ホワイトは日本でもベ ストセラーになっている。


【ベルリーナバイセ】
 ベルリンの特産小麦ビールで、乳酸菌で醗酵させるシャープな酸味が特徴。
 グラスの中ではビーズのような泡がシャンパンのように立ち上って清涼感たっぷり。
 すっぱぃのが好きな人には堪えられない味わいを持つ。すっぱいのが弱い人には、ラ ズベリーシロップや車葉草エッセンスを入れてのみやすくする。アルコール分2.8〜 3.4%。苦みは非常に弱い。代表銘柄はベルリーナ・キンドルバイセ。


【ポーター】
 ブラウンないしこげ茶色の上面醗酵ビール。ロースト麦芽による香ばしい風味と ホップのすっきりした苦みが特徴。フルーティーなエステル香やホップのアロマ が強いものもある。アルコール分5〜6.5%。ボディーは見かけより軽い。ロンドンで 生まれたが、現在は米国に多い。英国産ではサミュエルスミス・タディポーター,ア メリカ産ではアンカーポーターを試されたい。


【ボック】
 ドイツ・ババリア地方の伝統的な上面醗酵ビールで、ボック、マイボック、 ドッペルボックの3種類がある。いずれもラベルに雄山羊の絵が描かれていることが 多い。ボックは麦芽風味が強く、フルボディでしばしば甘い。重炭酸塩の多い水を使 うため、ホップは控えめ。アルコール分6〜7.5%。色はダークブラウン。日本では シュパーテン・プレミアムボックが出まわっている。マイボックは春に飲まれるボッ クで、色は薄く、ボディーもミディアム。アルコール分は変わらない。ドッペルボッ クは断食中の修道僧の栄養補給のために造られたビールで、甘みの強い濃厚な麦芽風 味とアルコールの強さ(6.5〜8%)が特徴。色も濃い。元祖はサルバトール。ほかにセ レブラトール、オプティマトールがある。マイケル・ジャクソンによると、世界一ア ルコール度数の高いスイスのサミクラウス(14%)もドッペルボックの一つという。


【ボヘミア・ピルスナー】
 ピルスナーの発祥地ボヘミアで造られる。ピルスナー麦芽のほかクリスタル 麦芽などを混ぜて造るので、色はゴールドよりいくぶん濃いめ、中にはアンバーに近 いものもある。カラメル香の強い麦芽風味を特徴とし、ザーツ・ホップのアロマとフ レーバーを上品に醸し出している。一般的にジャーマン・ピルスナーよりも重いと いってよい。代表格の元祖は、ピルスナー・ウルクェル。

第1章 ビールのスタイルに関する用語

マ行

【マイルドエール】
 ブラウンエールが英国の北部のエールであるのに対して、こちらは南部のエール。
ブラウンエールに比べ、色が明るく、アルコールが弱く(3〜3.5%)、苦みも少ない。
英国のエールに多いフルーティーなエステル香もほとんど感じられず、やや甘みの ある麦芽風味とホップのアロマが主役。
ボディはすこぶる軽く、飲み口はどちらかといえば爽やかなほう。試飲にはハイゲート・マイルドをお勧めしたいが、手に入れるのがむずかしい。


【ミュンヘン・デュンケル】
 ミュンヘンで作られるダークな色の下面醗酵ビール。
 炭酸塩の多い水を多く使うため色が濃い。
 重炭酸塩はまた、不快な苦味をもたらすためホップを控えめにし、 変わりにカラメルやチョコレートを思わされる麦芽風味で特徴を出している。
 アルコール分4.5〜5%。フルボディ。
 単にデュンケルという場合はババリア地方のダークビール全般を指す。
 正統派のミュンヘン・デュンケルを試してみたい方は、アイインゲル・アル トバイリッシュ・デュンケルをおさがしになるとよい。


【ミュンヘン・ヘレス】
 ミュンヘンで造られるゴールド色の下面醗酵ビール。
 ミュンヘン・ビールの例にもれず、ホップのアロマと苦みを控えめにし、 麦芽風味を前面に押し出している。
 ただし、カラメル香があってはならない。アルコール分は4.5〜5.5%。日本には シュパーテン・プレミアムラガーが入ってきている。


【メルツェン/オクトバーフェスト】
 ミュンヘン市で行われる収穫祭(9月の第三土曜日から2週間)のために3月 (メルツェン)に仕込まれる下面醗酵ビール。
 色はアンバーから銅色。麦芽のアロマとフレーバーが濃厚で、香ばしい焙煎 風味や甘い口当たりを特徴とする。ホップに関してはアロマも苦みも微少。
 ボディはミディアム。アルコールブン4.8〜6.5%。シュパーテン・ウル・メル ツェンはオクトバーフェストの元祖である。

第1章 ビールのスタイルに関する用語

ラ行

【スモークビール/ ラオホビール】
 上面醗酵・下面醗酵の区別なく燻煙した麦芽で造ったビールは、 すべてこのカテゴリーに入る。
 ドイツ・バンベルグのラオホビールカイゼルドムの場合は、 湿らしたブナの木を燃やして燻煙するという手法を取る。
 フランスのアデルスッコトはピートで燻煙したスコッチウイスキー 麦芽で造られる。
アラスカニはサーモンの燻製小屋を利用して燻煙したアラスカン・スモーク ドポーターという個性的なビールがある。
 スモークビールの場合、アルコール度数に関する規定はなく、 麦芽・ホップ・スモーク風味の三つが旨く調和していればよい。


【ランビック】
 ベルギー特産の自然醗酵ビール。生の小麦を30%以上使い、 オーク樽の中で醗酵させる。
できたビールは非常に辛く、仰天するほど酸っぱいしかしエージング させたビールと若いビールをブレンドしたグーズ・ランビックは酸っぱさ がマイルドになり、甘みも現われ、フルーティーなアロマを香らせる。
 また、味噌や醤油を思わせる乳酸系のフレーバーもグーズ・ランビック の特徴。ホップのアロマと苦みはまったくない。アルコール分5〜6%。
カンティヨン・グランクリュやモートザビット、グーズ・ブンを体験すると、 ビールの世界は際限なく広いことがわかる。


【ライ麦ビール】
 ライ麦麦芽で造るビールとしては、ドイツ・ババリア地方のロゲンビールが 有名である。大麦麦芽40%にダークなライ麦麦芽60%の割合で仕込むため、 色は赤茶色。酸味のあるシャープな味わいと、バイツェン酵母が醸し出す クローブのアロマを特徴とする。
泡持ちがよく、なかなか消えない。アルコール分5%。名前を シエルリンゲル・ ロゲンビールという。アメリカでもライ麦に興味を持つクラフトビールの醸造家 たちが現れた。
アメリカの場合ライ麦の割合が少ないため、色合いが淡くし上がる。
その一つが、レッドフック・ライエールはゴールド色で、スパイシーなアロマが 印象的。泡持ちがよく、すっきりとした飲み口の爽やかなビール。

第1章 ビールのスタイルに関する用語