2000年4月ステップアップ97定例会議事録

    

日時:2000年4月18日(火) 19002100

場所:東京国際フォ−ラム内生涯学習センタ−

出席者:27名

発表者:高井 正巳(株式会社リコ−)

◆テ−マ「デジタル時代のアナログ技術」

◆内容

「デジタル時代のアナログ技術」と題しておこなわれた4月の定例会は、発表者である高井さんがパソコンを持参され、パワ−ポイントを使用してビジュアライズに発表して頂きました。
当日は青木さんが買ったばかりのデジカメを持参し、出席者の顔写真を撮影したりと、大変盛況だった為、途中から出席したメンバ−数人が立ち見のまま定例会に参加するという状態でした。(主催者側としては嬉しい悲鳴です!)

1.アナログビジネスの現状:

(1)アナログは不況に影響されない

クルマを走らせるにはガソリンが、ロケットを打ち上げるには固定/液体燃料がエネルギ−源として必要です。一方新幹線を走らせ、パソコンや家電製品、そして近年益々需要が高まり、ドコモのIモ−ドに代表されるように高性能、多様化されている携帯電話(移動体通信)を動かしているのは電気エネルギーです。そしてこれら電気.電子装置や機器を動かす為の有力な媒体がアナログ技術です。(以下アナログ)バブル崩壊後、大手金融機関に代表させるように多くの業界が業績低迷に苦しんでいる中、IT革命の追い風にも乗り、アナログを扱う大手数社の業績は数年来収益、利益とも右肩上がりの成長を続けているとの事であり、なんとも羨ましい限りです。

高井さん曰く、ビジネスに求められる要求値がデジタルとアナログとでは異なっており、・デジタル・・・開発スピ−ド重視、微細化技術・アナログ・・・特性重視、コア技術構築、生産技術といった違いがある。

(2)アナログは儲かる(なぜ?)

1)一人のアナログ技術者を育成するのに約7年の期間(経験を)必要とする。

2)ニッチな分野が多い。

3)技術の蓄積に時間がかかる。

4)顧客は、アナログ技術を有するメ−カに頼らざるを得ない。

これらの要素の他にも、アナログ製品のコストダウン率が他の製品群(特にPC)と比べて穏やかとの点も見逃す事はできない。

2. アナログ技術:

(1)どうしてデジタルが注目されるのか?

1)半導体技術の進歩が牽引(微細加工技術、低価格化、メモリ−容量、素子数)

2)デジタル技術者は早期育成可能

3)CADを利用できる(経験が浅くても設計可能)

4)AV(オ−デイオ・ビデオ)はデジタル処理

5)デジタルは融合化に向いている

(2)なぜアナログ?(機能的優位性)

1)高周波処理(AC高速処理)

2)電源(エネルギ−処理)

3)センサ−(見る・聞く・温度)

4)増幅器(OPERATIONAL AMPLIFIER

5)PLL(電圧周波数変換)

6)ADC/DAC(アナログ←→デジタル)

7)フィルタ(位相・減衰)

8)デジタル高速処理・電力の限界(アナログ処理)

(3)アナログの今後

電力制御、センサ−、精度リファレンス、電流電圧変換といったものはデジタルでは処理できない。その為、これらの処理については、今後ともアナログがその主体的な役割を担っていく。又デバイス、微細加工技術、消費電力の限界といったデジタル処理の物理的限界もアナログで補っていくものと思われる。新しい取り組み(具体事例)として、発表して頂いたものの中で参加者の興味を引いていたのは、広島大学岩田教授が研究を進めている新型計算機の基本回路開発です。この研究の主旨は、アナログ、デジタル両方式を融合させ、例えば1万人の顔を瞬時に識別できるという画期的な研究で、実現に向けて研究が進められている。

(4)アナログ技術の一例

携帯電話に代表されるように、最近の機器は益々小型化しており、TVCM等でもいかに小さく、軽量であるかをアピ−ルするものが目立っている。今回は、機器の小型化と省エネに貢献する技術として、DC/DCコンバ−タ−の事例を発表して頂きました。アナログ回路は時間的に連続して変化する電圧や電流の信号(アナログ信号)を増幅、変換する為の電気回路の事をいいますが、毎日使っている電気エネルギーに対して、新たなる発見と見識を確認する事ができた事と共に今回発表して頂いた高井さんのアナログ技術に賭ける熱い思いを拝聴し、その後の2次会も大いに盛り上がった。

以上